お祭り

お題「お祭り」

 

 

薄暗い夜の道 赤く灯る灯篭

水風船の模様が

僕のゆらゆら流れる心を映している

 

人混み渦巻く駅の改札

浴衣姿の君がきょろきょろと僕を探している

 

その姿をながめながら

柱の後ろに隠れてる

少し意地悪をしてみたり

 

 

ひらり 揺れる袖口から見える

まっしろな手がきれいで

 

丁寧に塗られた口紅

いつもより少し光る目元

きちっとまとまった黒髪を彩る髪飾りたち

 

 

聞いてるの。

 

そういって頬を膨らませる君が愛おしくて

思わず抱き寄せた

ふたりだけの世界

 

 

いつもは言えない そんな言葉も

お祭りの夜は優しくて

そっとぼくの背中を押してくれる

 

そんなぼくを君は花火のような

儚く美しい笑顔で包み込んでくれる

 

思わず涙がこぼれた

 

花火がもたらす暗闇よ

どうか、この一瞬を永遠に

 

 

 

 

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あなたと

お題「行きたい場所」

 

海沿いを歩く

波の音が優しく響く

影のない陽射しが容赦なく降り注ぐ

私は歩く ひとり

 

ひとりを寂しいと思ったことはなかった

自然も街もみな 拒むことはない

それなのになぜだろう

あなたと出会ってから

私は弱くなってしまったようだ

 

 

人の影に 街の隙間に

あなたの温もりを探してしまう

 

美味しい食べ物も 美しい景色も

あなたと、って考えてしまうの

 

手持ち無沙汰になって

ポケットに手を突っ込んでみたりする

 

 

 

海沿いを歩く

波の音が優しく響く

水平線のはるか先を見つめる

頰を伝う涙

 

 

カメラを買いました。

お題「カメラ」

 

それは先日のこと。

あらゆる場所でセールが続き、走りまわっては買い漁るという女子にとっては幸せな日々を過ごしていた。

すると当然のことだが、タンスが悲鳴をあげたため、断捨離を決意した。

 

心を鬼にして月日をともにした洋服たちに別れを告げたわけだが、ふとみると、服と服の間に写真が一枚挟まっていた。

 

一枚の写真。

小学生の頃だろうか、それは昔好きだった男の子との写真だった。

 

懐かしい。

初恋だった私はいつまでもその写真が捨てられず、こっそりと隠し持っていた。なぜそれが洋服の隙間から出てくるかは謎であるが。

 

懐かしさに浸ってしまった私は、いそいそと卒アルを引っ張りだしてみた。

高く積まれ、自分の生死の行方を気にする洋服たちを横目に。

 

 

写真というものは、すごい。

タンスの奥底に仕舞われていたにも関わらず、

当時の私達をそのままの形で残している。

色眼鏡も色褪せることも許しはしない。

思い出になってしまったのは私の記憶だけ。

 

10年以上前に取ったその写真を、

次見るのはいつだろうか。

私の子供か、孫が見るかもしれない。

もしかしたら、私が有名人になって、

プレミアになるかもしれない。

 

写真とはその一瞬をかたどるものだけれど、記録としては一生ものだ。

綺麗な一面を切り取りたいと望んでしまうのは、本能ではないだろうか。

 

最近、カメラを買った。

これから様々な風景、表情、動きを撮りたいと思う。

その瞬間を一瞬にさせるのも、永遠にさせるのも、どちらも写真の本質なのかもしれない。

 

 

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朝という時間

お題「今日の出来事」

 

 

朝という時間には理想がある。

 

出来れば目覚ましというものに起こされず、ふっと目を開くような朝を迎えたい。

朝家を出る1時間半前がベストだ。

 

そうしたらまず、カーテンを開く。

朝陽を身体中に浴びて大きく伸びをする。

窓を開けると爽やかな風が入ってくるのだ。

 

子供たちの通学の時間帯なのだろう、

笑い声が聴こえてくる。

 

そよ風の音、太陽の声を聴いてから、

リビングへ向かう。

 

ロイヤルミルクティを一杯。

ミルクティとロイヤルミルクティの違いを友達に熱弁していたら、レモンティが好き、という一言で空気が氷点下へと達した。解せぬ。涼しい。

 

ジャズをBGMに、新聞をめくる。

 

出来れば庭に大きなプールがあり、

傍にはゴールデンレトリバー

パラソルの下で優雅に過ごしたいが、

悲しいかな、我が家は1LDKだ。

 

しかし、妄想力の豊かな私にとって、南国のリゾートに瞬間移動することは造作もない。

 

 

朝はご飯と決めている。

ご飯とお味噌汁とちょっとのおかず。

南国のリゾートだろうが、北極の氷の上だろうが、私は日本人である。

 

 

ここまでで恐らく1時間は経っているだろう。

 

ここからは戦場だ。

女性特有のお顔作り、ヘアメイク、着替え諸々を30分で済まさなければならない。

いかに慌ただしくなるかは、想像に容易いだろう。

 

そうやってバタバタ過ごす時間ですら、

愛おしく感じる。

 

自分の中に決まったリズムを持つことで、

発表会の日も、試験の日も、

いつだって自分を保ってられる。

 

まだまだ夏は続く。

気になるあの子を花火大会に誘ってみよう。お祭りに誘ってみよう。

 

緊張してしまったら、いつもと同じことをしよう。ありのままの自分がきっと1番輝いているから。

 

 

私はあいも変わらず、バタバタな朝という時間を過ごしましたとさ。

 

 

 

 

 

帰り道

お題「ちょっとした贅沢」

 

 

夏の晴れた日のこと

日陰のない一本道をゆっくりと歩く

うちわでぱたぱたと仰ぎながら

君は振り向く

 

「コンビニに寄ろう」

 

僕の返事なんて全く聞く気のない彼女は

1番近くのコンビニにずんずん入っていく

 

高い位置で束ねた髪が揺れる

汗がにじむうなじを横目で見ながら

僕はその後ろに続く

 

コンビニという世界に入った僕は

冷風に吹かれ 1人異世界を楽しむ

ぼーっとお菓子のコーナーを見ていると

彼女はカフェラテ片手に買い物を終えていた

 

「いこ」

 

彼女の短い言葉に引きずられ

異世界への名残り惜しさにそうっと蓋をした

 

 

彼女がカフェラテを買う時は機嫌がいい証拠

夏の戯れにも負けず 1日をやりきったご褒美

いつかそう言っていた

 

 

彼女と別れてから数分

ぼーっと彼女の背中を見送り

その姿が見えなくなってから

そっとコンビニに入る

 

さっき感じた冷風も 異世界

今は僕の前に現れない

まっすぐにドリンクコーナーへ向かう

 

僕はコーヒーが苦手だ

ミルクを入れても 砂糖を入れても

全く好きになれない

 

彼女の飲んでいたカフェラテを持って

レジに向かう

 

外に出てみると

夕暮れで空が紅く染まっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

上半期と下半期

今週のお題「2018年上半期」

 

梅雨があけた。

例年よりも早く、6月に梅雨があけるのはかなり珍しいようだ。

やまない雨はないとよく言うが、梅雨があけたいま、迷いのない晴天を見ていると本当にその通りだと思う。あんなに長く、鬱陶しかった雨も、過ぎてみればなんとも言えない愛しさに包まれる。

 

半袖、短パン、日傘にアイス。

夏を漂わせながら歩く人々を見ていると、ふと何かを忘れたような気持ちになる。

なんだろうか。

もやもやとしながら、持っているミルクティーの氷が溶けていく様をじっと見つめる。結局よく分からなかった私だが、その夜には思い悩んでいたことすら忘れてしまう。そんなものだ。

梅雨があけた時期が早いかどうかなんて、あけてしまえば夏に追いやられて、来年になるまで思い出されることなんてない。そんなものだ。

 

そうやって日々を積み重ね、今日で上半期が終わる。やり残したことがあるわけではない。後悔がない、わけではない。

淡く儚く過ぎていく今日を、私はどれだけ大切に出来ただろうか。いつもは思い出せないあの瞬間を、必死に生きてたあの日の自分を、すこし省みてもいい頃なのかもしれない。

 

 

 

 

 

あけたと聞いて

 

 

じめじめするのが嫌なの。

傘を差すのも疲れるの。

あたしのくせっ毛が顔をだすの。

 

そう言って頬を膨らませていた君が

哀しい顔で空を見つめている。

 

だれよりも蒼く だれよりも深く

世界を照らす空を見つめて

君は何を想うのだろう。

 

季節が巡り 心が移ろい 取り残される僕ら

終わりと始まりが行き交うこの場所で

君は何を想うのだろう。

 

未来に背を向け

過去に感情を預けたその瞬間

僕の世界はひとつになったんだ。